ヒステリー球について 2017/5/22 Ⅱ

 きょうは15時頃からヒステリー球が肥大化して苦しかった。吐き気あり。頻回のおくびあり。労働が手につかなくなる、というより体調不良を自分への言い訳にしてサボタージュを敢行する。万事問題なし。暑くなってきたせいか気持ちはそれほど落ち込まないのだが、どうしてか身体のほうの調子とはシンクロしない。身体のほうは不調を訴えている。ヒステリー球は確かにおれの喉元で大きくなっていた。パロキセチンを服用してから怒りの感情は綺麗にぬぐい去られていたが、ここ2日くらい「健全」な怒りがおれを支配している。おれの活動の原動力となるべきごくごく「健康」な怒りである。これすらなくなったらいよいよおれはすべての武器を失うことになる。明日はメンタルクリニックの受診なのでそのあたりのところを相談しなくてはならない。ただのヒステリー球、生き死にに関わることでもないのにこんなに躍起になっている男を見て、医師はどうだろう、実のところせせら笑っているのではないか、あるいは呆れているのではないか。金づるとして大事にしてくれるのならそれが一番おれにとっても相手にとってもよろしいことだ。ジアゼパムをくれよ先生。可愛い黄色い小さな錠剤だよ。エチゾラムの処方がなくなってから、昼間の服薬が必要でなくなったので楽だ。バイト先でいちいち錠剤を取り出さなくて済む。持ち運ばなくて済む。それだけでだいぶ楽だ。よいことだ。そうだ、よいことだ。ベンゾジアゼピン系はおれは●●からもらったワイパックスから入門したのだが、短期決戦型のやつに初めに慣れちまったせいかジアゼパムみたいな長く効くやつはいまいち薬効を実感できなくて困る。
 苦役、昼間、タバコが切れた。夜までニコチンなしでやり遂げた。帰宅してから虎の子のラッキーストライクの葉っぱを巻いて吸う。クラクラする。旨い。
 稚魚バケツを見たらヒメダカが一匹孵化していた。明日にでも稚魚用の餌をつくらなくてはならない。さしあたってはレスタミンの瓶にフレークを入れて、そいつを割り箸で粉状にしようと思う。もし残留レスタミン成分が稚魚を殺すようなことがあったらそりゃ困る。ちょっと瓶を洗ってから使うことだ。
 コーヒーを買った。もう今月はカツカツだ。金がない。出張の予定があるのに金がないから出張先で路頭に迷うかもしれない。そうならないにしても少なくとも数日間の絶食を強いられるかもしれない。これが銃士の暮らしだ。ワクワクするぜ。命が惜しくないもんな。手柄を立てたくてしょうがないもんな。
 そうだ、手柄を立てようじゃないか。デュマがデビューしたのは27の時だ。おれはまだ24だ。追いつける。最近頻繁に楽しげな仕事をしている●●だって27だ。まだまだおれは若いんだ。焦ることはないじゃないか。アトスだってありゃ30くらいだったろう。30くらいで飲んだくれて銃士の暮らしをやっていたんだ。アトスが許されるならおれだって許される。
 最悪のところエポスカードのローンを使えば現金は手に入るだろう。幸か不幸か新小岩ルノアール前にエポスカードのなにやらATMみたいな機材が設置してあったのをおれは覚えている。あれはローンの機械だろう。カードを差し入れれば、福沢諭吉がポンとわき出る仕組みだろう。使うしかないか。そうなのか。そういうことなのか。
 そうと決まればおれは明日アンバーリーフを買おう。タバコだ。まずもって紳士を快活にし、お愛想を振りまく度胸を与えるのはタバコだ。これがなきゃおれの生活に張り合いってもんがない。タールと肺の真剣勝負のなかから本当の思考(アイデア)ってのが生まれて来るもんだ。おれは知っているんだ。
 きょうは22時にゾルピデムジアゼパムを投入し、22時30分に眠りにつく。そうして6時30分に目覚ましをセットしているが、早朝覚醒してしまうか否かは神のみぞ知る、だ。早朝に目覚めてしまったら稚魚の世話でもして暮らそう。6時30分まできっかり寝られたら体力がしっかり回復できて万事よろしく事が進むわけだ。隙のないプランだ。
 月曜だってのにやけにおれはきょういきり立っていやがるな。大丈夫かこの調子で。暑いからこんなものかしらね。久しぶりに気持ちのいい怒りを享受している。そうだ、怒りだ、プロテストだ、革命だ、おれはやるぞ、やってやるぞ、勇気だ、武力だ、命知らずだ。
 どこぞの詩人は大成功を収めて数億の富を手にしたが、その時彼は30だった。そのうちに彼は鬱病にかかってしまった。いまもきっと完治していない。いろいろあるのだろう、後悔とか、そういうのが。取り戻せない若さとか、そういうあれこれが。
 おれはまだ若い。十分だ。おれが若くなくなった時は? ……いま、恐ろしいものが垣間見えた。いいさ、おれが老人になってまだ世間に認められず爵位のひとつも手にしないで不遇をかこつ生活を送っているようだったら、大衆から狂人扱いされるようななにかをやらかしてあれこれしてやる。おれは所詮狂犬の類だ。群れることが不可能な人種だ。一匹狼、と言えば聞こえはいいが、しかし、この二足歩行の霊長類、どうも狼とはほど遠い貧相な身なりをしていやがるぜ。くぼんだ二つの目玉がどうも気違いのように見えてならん。

f:id:goemon0728:20170522221652j:image
 バリザルド! もの言わぬ相棒よ、お前が頼りだ。これから苦楽を共にしていこうや。戦場で、血を浴びて、おれたちは、進む。陰謀を乗り越え、宿敵を討ち果たし、手にするは元帥杖、そうだ、元帥杖を手にするその日までは、いくら銃弾を腹に食らったって、倒れるものかよ、死ねるものかよ。それでもバリザルド、いよいよとなったら、死ぬ時は一緒だ、お前をへし折ってから、おれもあっさり逝ってやる。