ビズについて 2017/5/31

 きょうは東北へ出張。朝3時半に起床。カフェインとニコチンをドバドバ入れる。帰りは22時を過ぎるだろう。明日の朝もカフェインとニコチンに頼らなくてはならなくなるだろう。
 処方がリボトリール(=ランドセン)になって幾分か気が楽だ。この系統の薬ではもっとも強力なやつらしい。適応外処方だ。
 印鑑を所持するのを忘れた。印鑑を持たなければならない。
 ファキゴナファッキンファック、叫びたい気分だ。満員電車の中で発狂してみたい気分だ。いよいよいまの苦役を辞める算段がついた時おれはこれを実行に移そうと思う。満員電車の中で狂人になる。プロテストだ。目撃者がツイッターで拡散してくれたら狂人は嬉しい。
 賞の締め切りが迫るに従って、おれの戦意は高揚してくる。結局のところ追いつめられなければ何も出来ない男だ、おれは。裏を返せば追いつめられさえすれば窮鼠猫を噛む、何かしでかしてみることもできるということだろう。
 油断すると瞼を閉じそうになる。今日は陸の上、明日は波に揺られ、おれはどこまでも使役され連行される。苦役の契約を交わしてしまった以上仕方のないことだ。契約は絶対だ。契約に従っておれは定時が来たら誰よりも早く帰る。万事問題がない。
 東京駅から新幹線に乗る。新小岩から東京までは12分。住んでみると意外に新小岩は都心へのアクセスが良くて不便がない。
 6月、どのような精神状態で過ごすかは、おれのビズ次第だ。おれのビズの進捗にかかっている。上手くいけばおれの調子も上がってくるだろう。上手くいかなければ、おれは屍だろう。
 新幹線に乗り込んだ。自由席は空いている。
 漠然とした怒りがヒステリー球と化しておれを苛んでいる。いつも通りだ。システムとシステムへの隷従の自覚のない奴隷たちへの怒り。大衆への怒り。己自身上手くいっていないことへの怒り。とりたてて理由無き怒り。それらを愛想笑いでごまかして、ヒステリー球へと転化させる。そうしておれは立っている。効いているのかいまいち実感はできないが、リボトリールが処方されたというだけで、しかし、だいぶ楽だ。
 携帯を変えたが新しいほうにも慣れてきた。慣れてみれば悪くないデバイスだ。カメラだけはiPhoneにかなわない。iPhoneカメラの画質は異常なほど良好だ。
 今朝も青メダカの産卵を目視確認できなかった。環境が悪いなら改善しなくてはいけない。青メダカのバケツだけいつも油膜が張る。25Lのバケツを購入する必要があるだろうか。水量が多いほうが水質は安定する。そもそもが6Lのバケツで12匹飼おうというのだから無茶だ。稚魚が無事に成魚になった時のためにも、バケツないしはプラ舟等の用意が要る。そのためには少し部屋の物品の配置を変えなくてはいけない。
 件のソーシャルゲーム行動法の雛形を作成してみた。まず1行のΔを作成する(例:自分を許せないプロタゴニストが、自分を許せるようになる話)。これでボーナスゲット、3000円を娯楽に使っていいことにする。次に3行のΔポイント(ファーストターニングポイント、ミッドポイント、セカンドターニングポイント)をプロタゴニスト、アンタゴニスト、サブキャラクター、ヒロイン分作成しこれを印刷する。これでボーナスゲット。3000円を娯楽に使っていいことにする。そうした調子でどんどん仕事量を増加させ、ボーナスを配布していく。1作品完成時には総計約30000円ほどの現金を獲得することになる。これはメダカへの投資やその他の娯楽で消費される。生活のささやかな楽しみである。過酷な状況を生き抜くには小さなことに楽しみを見いだすのが肝要だ。
 車内販売が来た。通り過ぎていった。
 あと最長でも480回出勤したらいまの苦役は辞める。どんな状態に自分が置かれていようともだ。もしまだ独立の目途が立っていないなら、派遣にでも登録して日銭を稼ぐ。独立のきざしがあるようならアルバイトでもしながらそちらに注力する。理想は、完全に独立して財産を形成するレールに乗ることだ。いまの苦役の何が悪いかといって、それはまず構成員のレベルの低さがどん底であることだ。これは業界の性質から見ても仕方のないことだろう。おれのいまの苦役は世間で言ういわゆる底辺職だ。社会不適合者やマウンティングを好むボス猿大衆が集って形成された組織だ。その中にいればいるだけ精神は磨耗していく。若い貴重な一時期をここで過ごさなくてはならない命運に、おれはとても感謝を注ぐつもりはない。貧困は不幸だ。貧困の原因は先祖の不運だ。先祖の不運は人間の、富を平等ではなく一カ所に集積させようとする働き、自然の性質に原因がある。業だ。
 窓の外の景色を眺めながら飛び降り自殺のシミュレーションをしていた。そういえば、きょうはリスペリドンを携帯するのを忘れてしまった。エチゾラムならいくつか持っている。飲もう。――舌下に入れた。ほのかに甘い。
 早稲田大学図書館に行きたい。すべてのしがらみから解放されて、すがすがしい気分で古典を読み漁りたい。生活上の心配もなく、将来についても無関心で、ただただ知識欲に突き動かされるままに、ページをめくりたい。――そんなことを出来る日が、おれが死ぬまでにやって来るだろうか。
 意外にもきょうはタイプの手が進まない。いつもなら流れるように打ち込むところを、きょうは叩いては休み、叩いては休みの繰り返しだ。眠いからだろうか。あるいはもうおれには書くべきことが尽きてしまったのだろうか。
 書くことはある。しかし、あまり向き合いたくない問題について、だ。それを書くのにはエネルギーが要る。そのエネルギーをいま欠いている。
 おれは本当にダメだ。「東野くんは目標に向かって頑張ってるから凄い」と言われるがそれは誤解だ。怠けてばかりいる。おれのビズのアッピールはハッタリだ。いたずらに奴隷の生活を長引かせている。